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若者の怒りが時代を変える
2002年6月25日 上甲晃 | 個別ページ
「若者の怒りが改革のエネルギーになる」と私は確信している。もしその表現に、より正確を期するならば、「大局観を持ち、正義感に基づく若者の怒りが世の中を変える」となる。裏返すと、若者が怒りを忘れてしまったら、世の中はけだるく停滞するばかりである。
ちなみに、松下政経塾の第十期生である中田 宏君は、「前職の市長が四選目の選挙に出ることを長すぎると怒り、借金を振り返らずにハコ物ばかりを造る市政をけしからんと怒り、中央省庁の天下りの市長が二十年も続くことを許しがたいと言って、勝算のあまりないと言われた市長選挙に出た。しかし、中田君の怒りが市民に通じて,選挙に勝った。若者の正義感に立つ怒りが、時代を変えた実例である
同様の実例を、最近、目の当たりにした。次代を担う美容師の育成をめざす『若竹塾』の研修修了発表会でのことである。「これからの活動」と題して、名古屋市内を中心に、手広く美容室を営む日置美容室の専務取締役である日置 尚君が、発表した。それは、美容業界のあり方に対する怒りからスタートした内容のものであった。
「日本の美容師は、パリやニューヨークに研修に行くことをもって、一つのステイタスとしてきました。私も、研修のために、出かけました。しかし、現地で指導する人たちは、実に偉そうにしていて、私たちを頭ごなしに叱り飛ばす。そのたびに、日本から出かけた美容師は、ますます萎縮して、パリやニューヨークにコンプレックスを抱く。しかし、私たちの技量はそんなにも低いだろうか。私たちの技量と彼らの技量との間に、そんなにも大きな差があるのだろうか。私は、差はないと確信している。だから、私たちは、これからニューヨークに店を作り、彼らに負けない仕事をしようと思う。ニューヨークで、立派に成功して見せようと思う。みなさん、いかがですか」と気負いながら、みんなに迫った。
私は、日置君の発表を聞いていて、自分自身の腹の底から力が沸いてくるような気がした。そして思わず、「そうだ」と叫びたくなった。高いお金を出して、クソミソに叱られながら学ぶことも必要かもしれない。しかし、そんなに偉そうに言われるほどの差はないぞと開き直り、怒る気持ちは、実に若者らしくて頼もしい。若者は、そうでなければと、心ひそかに喝采の拍手を送った。
若者は、現実の枠組みに安住してはならない。現実の枠組みに自分をはめ込むような処世術に生きてはならない。現実社会は矛盾に満ち満ちている。君たちは目を見開き、激しく怒らなければならない。
うれしい波紋
2002年6月 8日 上甲晃 | 個別ページ
「昨日十七日の木曜日、エンゼル-ホームでは現地スタッフによる事務所の一斉掃除が行われました。思いもよらない突然のことに、うれしいやら驚かされるや」、壁に貼られていたエンゼルホーム近況報告の壁新聞は、バングラデシュにある現地事務所での出来事を、興奮気味に書き出していた。
この日、『青年塾』の関西クラス研修のために、兵庫県東条にある国際エンゼル協会研修センターを訪問した。建物の中に入り、私は、すぐに壁に張られていた紙に注目した。まず、見出しが目立つように、別の黄色い紙に黒々とした文字で記されている。そこには、「エンゼルホーム事務所、一斉掃除の様子」とある。
バングラデシュにある国際エンゼル協会の現地事務所で、現地の人たちが揃って、自主的に一斉掃除したことは、実は大ニュースなのである。壁新聞は、「バングラデシュという国では、職業ごとの階層意識が強く、それぞれの役割分担が暗黙のうちに細かく決められています。そのため、掃除をすることが職業として成り立っており、また事務所で働く人たちが自分で体を動かして掃除をするのは、自分の品位を落とすために、ありえないと思っていました」と記述してある。この文章は、現地に滞在している日本人スタッフによって書かれたものである。日本人が命令したのではなく、現地の人たちの自主的な発案により、事務所のスタッフが揃って掃除をしたのだから、日本人のスタッフがびっくりするのも無理はない。
この一斉掃除を呼びかけたのは、スタッフの幹部であるロトンさんである。ロトンさんが、突然に呼びかけて、みんなで事務所を掃除しようということになったしだいだ。予定の一時間では作業が終わらず、「ここまでやったのだから、最後まできれいにしましょう」などと言う声が自然のうちに出てきて、大いに盛り上がった様子である。
私は、うれしかった。私たちが先月バングラデシュの国際エンゼル協会に滞在した時、ロトンさんを巻き込んで、トイレ掃除をした。その時は、いつも遠巻きに私たちの掃除ぶりを見ている現地スタッフを巻き込んだことは革命的出来事だと思った。しかし、ロトンさんは何か感じるところがあったのであろう。私たちが帰ったあと、自らが゛言い出しっぺ゛になって現地スタッフで自主的に掃除を始めたのだ。これからは、毎週木曜日、一時間かけて、自主的な掃除をすることを決めたとも伝えられていた。来年一月のバングラデシュ訪問が楽しみだ。

