志ネットワーク 青年塾:「志の高い日本」は、「志の高い日本人」によってこそ実現するとの思いに立ち、志ネットワーク活動を展開。 主宰:上甲晃

江本さんへの提言

2003年12月25日 上甲晃 |

 これは、大阪府知事選挙に立候補を予定している江本孟紀さんへの提言であり、ある意味では、エールである。

 拝啓 江本孟紀 様
 あなたが、大阪府知事選挙に立候補されることに対して、私は、心より敬意を表し、声援を送りたいと思います。もしあなたが立候補されなければ、大阪府知事選挙は、現職と共産党候補者の一騎打ちという極めて低調な選挙で終わるところでした。そして、大阪府民はさらなる低迷と諦めの四年間を迎えなければならなかったのです。そこへ、現職の参議院議員であるあなたが、単身、それこそ徒手空拳、知事選挙に出馬される決意をされたことは、俄然、大阪府民を熱くしつつあります。

 今回の選挙は、従来の常識からすると、あなたにはきわめて不利な選挙情勢にあります。例えば、経済団体、労働組合、既成政党、宗教団体など、ほとんどすべての既成組織・勢力が、現職を推しています。これではとても勝ち目がないと考えるのが、今までの常識であります。しかし、私はそのような情勢をまったく心配していません。これは、大阪を"根こそぎ変えていく挑戦"なのです。"根こそぎ変える"のに、既成の組織は、抵抗勢力になりこそすれ、味方になどなりうるはずがありません。第一、経済団体、労働組合などの既成の組織は、大阪をここまで低迷させてきた責任を負わなければならない存在です。既得権益を守ることに汲々としている抵抗組織を敵に回すことは、大阪を"根こそぎ変える"上では、避けて通れません。それどころか、抵抗組織を倒すことこそ、『江本変革』の出発点であります。まさに、望むところであります。

 しからば、誰を味方とするのか。答えは明確です。抵抗勢力に組み込まれなかった一般の府民、政治から遠ざけられていたり、遠ざかっていた府民こそが、あなたの味方なのです。あなたが、単身、府民の中に飛び込み、『府民とともに考え、行動する運動』を期待します。

 大阪は、かつて、中央政府に依存しない自主自立の精神が真骨頂であり、民間の自由な精神と発想、旺盛な行動力が最大の長所でありました。今、大阪はその長所をすっかり失いつつあります。大阪を"根こそぎ変える"ためには、お上(官)への依存心をきっぱりと捨て、自らの自由な発想と旺盛な行動力が存分に発揮できる条件を整えることです。そして、それは政治の果たすべき最大の使命であります。

 大阪府民には、元来、自由で旺盛な発想と行動力があります。それは、"なにわのど根性"とも呼ばれるほど、全国にその名をとどろかせていました。この"なにわのど根性"が戻ってくれば、大阪が元気になることは目に見えて明らかです。

 具体的な提言は、次の通りです。

1.「官」の力を必要最低限に抑制する。(府の組織の大改革)
  そのために必要なことは、大阪府の体制を抜本的に改革すること。府庁職員の大意識改革、組織のスリム化、経費の徹底した効率運用。肥大化した既得権益の解体。

2.大阪全体を地域主権の「民間活力特区」にする。
  自由な活動を進めやすくするためには、「官」の許認可や規制を大胆に緩和すること。そのために、中央の政府と戦う姿勢が必要。「自由な活動ができる大阪」に生まれ変わるならば、大阪には世界中から、 日本中から有能で興味ある人が集まる。"面白い大阪"づくりである。

3.「関西州」推進の中心的役割を果たす。
  もはや都道府県単位の発想では、限界である。大阪府が中心的役割を果たして、関西全体としての大胆な発展を大胆にめざす。中央からの大幅な権限委譲を勝ち取り、府県の特徴を特化させる。

4.世界の大阪作り"をめざす。
  日本の大阪では話は小さい。アジアの大阪、世界の大阪をめざす大構想を打ちたて、これから長期にわたって計画を進める。「世界の商都構想」だ。そのためにも、規制が極端に少ない特区になることが、一番の道である。とりわけ、東京の二番煎じのことは絶対しない。

5.関西独特の文化を育てる。
  元々大阪商人は、地域の文化を育てた。経済発展だけではなく、文化も振興させる懐の広さがあった。豊かな民間の力は、文化の面でも大いに発揮されるべきである。なお、政策についても、大きな枠組みを持って、府民の中に飛び込み「大阪を一緒に良くしよう」との呼びかけにより、府民の面白くユニークなアイデアをどんどんと吸収していく運動も、選挙戦の特徴として打ち出すことが良いのではないでしょうか。松下幸之助は、それを、「衆知を集める」と言いました。『衆知を集めた政策』を選挙期間中に発表されるのも、一案ではないでしょうか。

 あなたが言われるとおり、「知事に大阪を良くしてもらう」のではなく、「一緒になって大阪を良くする」ことが、基本の姿勢であることを歓迎します。そして、それを選挙の戦略の中心に据えられることを勧めます。
             上甲 晃

早足は過去の話

2003年12月22日 上甲晃 |

江本さんと 大阪府知事選挙に出馬を表明した参議院議員の江本さんと二時間ほど話した。選挙情勢や応援のあり方について話し合うのが目的であった。江本さんは、高知県出身。野球選手として、南海ホークス、阪神タイガースに在籍していた関係から、関西とも縁が深い。当然のことながら、関西の事情、あるいは大阪の事情についてもなかなか詳しい。

 その江本さんが、面白いことを言った。「かつて大阪の人は歩くのが早いと思っていました。とにかくせっかちで、足が速い。私なども、大阪の街を歩いていると、いつも追い立てられるようで、何となくせわしい気がしたものです。ところが、久しぶりに大阪に戻ってきて気が付いたことは、大阪の人たちの歩くスピードが非常に遅くなったことです。私から見ると、とろとろ、もたもた歩いているような気がしてなりません」。

 なるほど、かつて大阪の人たちは、歩くスピードが速いことで有名であった。歩くスピードが速いことは、゛生き馬の目を抜く゛ような大阪の商売人の積極的な姿勢の現われでもあったように思う。大阪では、車を運転している人は、まっすぐ前の信号を見ないで、横の信号を見ていると言われた。そして、横の信号が黄色になれば、前の信号が赤であっても発進するとも言われた。それもまた、大阪人のせっかちさの現れであると受け止められてきた。そのことは、大阪に来て人たちから、ずいぶん指摘されて記憶がある。

 大阪の人たちの歩くのが遅くなったばかりか、とろとろ歩いていると聞いて、大阪の低迷ぶりはそんなところにも現れているのかと、驚いた。確かに、人間、活力がなくなれば、歩き方にまで力がなくなることはうなずける。逆に、元気な時は、さっそうと、そしてはつらつと早足で歩くものだ。元気がなくなってくると、うつむき加減になり、とぼとぼとした歩き方になるのも当然の結果かもしれない。

 また江本さんはこんなことも言った。「大阪の電車に乗る時には、みんな競い合うように扉に殺到した。ところが、最近は、きちんと列を作って並んでいる。これにも驚きました。礼儀正しくなり、マナーが良くなったわけですが、何となく大阪の活力のなさにも見えてくるから不思議です」。

 私も同感だ。大阪の人たちに特有のぎらぎらとした活力が消えている。
その中にずっといると、気が付きにくいことも、しばらくぶりに訪問したりすると、変化に気が付く。江本さんが大阪に帰ってきて、知事選挙に出るのに期待したい。変化を通じて、大阪の問題点をしっかりと見てもらえば、新しい政治への期待が高まる。

今時の若い者 

2003年12月 9日 上甲晃 |

 「大阪から日本を変えよう」とのスローガンのもとに、大阪市内で、『関西改革会議』が開催された。この会議は、最初の運動として、大阪府の窮状を取り上げ、「崖っぷち大阪゛救命大作戦゛」に取り組んでいる。

今回の会合を中心になって主催したのは、『青年塾』関西クラスの塾生諸君。寸劇による大阪の現状の紹介、ディへートによる論点の明確化、活動方針の発表など、なかなか充実した内容となった。集まった人たちも、およそ百六十人以上。大阪府知事選に立候補表明した江本孟紀氏も特別参加して、雰囲気を大いに盛り上げてくれた。それにしても、この会合は、とかく政治に無関心と言われている若い人たちが、熱く燃えている姿が印象的であった。

 関西改革会議なるものを提案したのは、私である。世に言う、゛言い出しっぺ゛である。しかし、この関西改革会議なるものを粘り強く軌道に乗せてくれているのは、私ではない。私の思いに呼応して行動を起こしてくれた若い人たちである。゛今時の若い者゛は、実に良くやると私はつくづく感心させられた。大したものである。

 「関西から日本を変えよう」。それは、関西改革会議の思いである。日本の中でも、最近、関西の低迷振りを、私は大いに嘆いている。低迷には色々な原因がある。とりわけ、私が問題だと思うのは、政治に対する 無関心だ。政治を馬鹿にすればするほど、そのツケが自分に回ってくると、私は考えてきた。関西、とりわけ大阪にその傾向がなお強い。そこで、政治に目を向け、良い政治家を支援していく運動を提唱したかったのだ。大阪の投票率は、いずれの選挙も低調。ほとんど全国最下位をさ迷っている。なかでも、若い人たちの投票率は、十パーセント台。政治への無関心は、目を覆うものがある。
 私は、大阪を変えるためには、大阪の若い人たちが目覚め、立ち上がり、行動を起こすことだと確信している。『関西改革会議』は、若い人達だけの力で運営されてきた。しかも、若い人たちは、毎週、会合を粘り強く開催して、準備してきた。その継続力と執念には頭が下がる。電子メールがまるで、雨嵐のごとく行き交い、熱気がひしひしと伝わってきた。私はそれだけでも、大阪を変える運動の手ごたえを感じた。若い人たちが立ち上がると、その勢いは、情熱的で、しかも爆発的である。

 挫折しそうな事態も何度かあったはずだ。別段自らの利益と直接何の関係もないのだから、何時投げ出しても構わない。しかし、みんなは我慢強く、全力を尽くしてきた。その努力が、少しずつ実りつつあるようだ。 

銀行マンに告ぐ

2003年12月 7日 上甲晃 |

 「常にベストを尽くす」ことをモットーとしている私ではあるが、この日の講演にはいっそう力が入った。三井住友銀行の部長・支店長クラスの人たちを対象にした講演会である。会場は、大阪市内の元住友銀行本店。今は、三井住友銀行大阪本店。この日の講演は、東京の本社でも、二百人ほどの人たちが聞いている。テレビ中継により、大阪での話も、即時に東京に通じるようになっていたのである。
 力が入った理由は、簡単だ。この際、銀行の幹部の人たちにどうしても訴えたいことがあったからだ。まして、大手都市銀行の代表格である三井住友銀行である。私の思いを伝える場所としては、これ以上ありがたい場はない、格好の機会が与えられたのだ。

 概して、最近、銀行の評判はすこぶる悪い。不良債権問題で懲りたはずの銀行が、『悔い改めた』様子が伝わってこない。それどころか、『懲りない面々』の様相がある。そのために、多くの企業経営者は、銀行に対する不満が絶えないように思われる。曰く、「銀行は詐欺師だ」、「銀行は血も涙もない」などと。
 ゛銀行の志゛。私が訴えたかったことだ。「何のために銀行は存在し、何のために私たちは働き、何のために仕事をしているのか。銀行の方々には、今こそ、ぜひその原点に戻っていただきたい。志とは、相手の利益を大きくする心です。それに対して、野望・野心は、自分の利益を大きくする心。ぜひとも、銀行もまた、野望と敢然として訣別して、高い志を取り戻していただきたい」。私は、声を限りに訴えた。またこんな話もした。「信用こそすべての活動の原点。銀行に今一番必要なことは、利益をあげることではありません。信用の回復こそ、急務です。信用が回復すれば、業績は必ず回復する。そのことを信じて歩んでいただきたい」。

 銀行が、顧客に対して厳しい姿勢を貫くことは構わない。問題はその厳しさが、誰のためかである。自分たちの利益のために相手に厳しいのでは、恨まれるだけ。相手の利益を確保することに対して厳しいとすれば、その姿勢は必ず認められ、信頼されるはずだ。

 講演の後、無理をお願いして、かつて住友銀行本店であった当時の面影を残す一階のフロアーを見学させてもらった。三十一本の大理石の柱、バルコニー、見上げるような高い天井。そこでは、今も百人以上の人が働く。「余りにも威風堂々としたオフィスで、ちょっと圧倒されます」と、案内してくれた執行役員が言う。かつて銀行の仕事ぶりは、威風堂々としていたのである。ぜひその誇りを取り戻して欲しいものだ。


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