志ネットワーク 青年塾:「志の高い日本」は、「志の高い日本人」によってこそ実現するとの思いに立ち、志ネットワーク活動を展開。 主宰:上甲晃

フリマ

2005年8月27日 上甲晃 |

 「フリマ」、「フリマ」と、みんなが当たり前のように口にしている。『青年塾』サマーセミナーの企画を考える時のことである。私は、いったい何のことを言っているのだろうかと、最初のうちは首をかしげていた。やがて、「フリマ」とは、「フリーマーケット」を縮めた表現であると知った。循環型社会作りの一つの試みとして、最近各地でしきりに展開されるようになったのが、この「フリーマーケット」である。
 東京・羽田空港に近い大井競馬場で開催される「フリーマーケット」で店開きをするのが、今年のサマーセミナーの柱となる企画である。サマーセミナーに参加する人達が、一人最低五点の品物を家から持ち寄った。そして、前の晩にチームごとに商品に価格付けをしたり、それぞれの店の看板や売り込みのチラシを作成して、意気揚々、総勢百人近い人達が、大井競馬場に向かった。
 巨大な競馬場の駐車場が、「フリーマーケット」の売り場になる。事前に登録しておけば、指定の場所で、誰でもが店開きできる。二階建ての駐車場の一階、車一台分のスペースが、一つの店になる。『青年塾』は、十五区画を借りて、青いシートを敷き、早速店開きである。午前九時開店であるが、商品を並べ始めると、とたんに客が集まる。ただし、この客はプロだ。私達のような素人の並べる商品の中からお買い得品を買いあさり、その後、自分達の店に並べるのだ。中には、フリーマーケットで仕入れて、そのまま店を開く人もいるそうだ。
 ハゲタカのような勢いで、プロが買い集める物は、商品価値が高い。私達の売り場からてきぱきと商品を買い集めた、一人のプロと思われる男が、「この売り場は素人だね。値打ち物がとてつもなく安かったり、大して値打ちのない物がべらぼうに高かったり。まちまちだ」と言う。なるほど、私達には見る目がなく、プロには鑑識眼があるのだ。
 広大な駐車場には、実にたくさんの店が並ぶ。私から見ると、ほとんどがプロだ。巨大な夜店の雰囲気がある。私達のような素人が、自らの持つ不用品を並べて、「もう一度生かして誰かに使ってもらいたい」といった心の伝わる場ではない。リサイクルの運動と言うよりは、ガラクタ市の様相だ。正直なところ、見て回った範囲で、掘り出し物はなかった。
 『青年塾』の人達が出店した結果は、最終的には完売。もっとも、私達のような゛素人の出店゛は、儲けが目的ではない。何とかもう一度使ってもらいたいと思っているから、最後は゛叩き売り゛できる。閉店間際には、全部で十円などといった価格をつけると、飛ぶようにさばけた。

罰が当たる

2005年8月26日 上甲晃 |

 工場の入り口に立つと、醤油の匂いが辺りを包む。何人かの作業者が、梱包された食品の包装を手際よく解いている。入り口の正面には、こげ茶色をした醤油の粕が山のように積み上げられている。暑さが作業を厳しく見せる。工場は、奥に向かって広がっている。白い袋に入った完成品の豚に食べさせる飼料がずらりと並んでいる。
 私は工場の説明を聞くうちに、唖然とした。「毎朝、何トンもの卵が入ってきます。それはそのまま食べられる調理したてのものです。廃棄される理由はただ一つ。ゆでた卵を半分に切った時、卵の黄身がどちらかに偏っているために、スーパーの店頭で売れないから。それだけではありません。売り物にならないからという理由だけで、どれほど大量の食品が捨てられることでしょう。私達は、それを仕入れて、豚の餌として生産しています」。卵のほかにも、色々ある。工場に足を踏み入れると、袋に入った新しい麺がうず高く積まれている。計量の結果、基準としている数値から少しずれているだけの理由で廃棄されたもの。あるいは、間もなく賞味期限が来るので引き上げられた菓子なども、その日の朝に焼きたてのナムの生地、ホテルから出た食べ残し、焼きたてのパンなどもある。スーパーでは、欠品しないように、豆腐名となどは常に多い目に商品を供給する。裏返すと、いつも売れ残りが大量に出ることが宿命付けられているのだ。
 この会社を設立した根来みどりさんは、「ここに集まってくる食品の残渣(ざんさ)を見ていると、罰が当たると言うか、神を恐れない人間の営みとも言える」と話す。それほど、廃棄される食料が大量なのである。根来さんは、それを豚のための質の高い飼料として生産することを目的とする会社を立ち上げた。「循環型の農業をめざす」という高い志がある。食料の廃棄物を材料として、飼料を生産しているが、自らもフィリピンに農場を持つほか、那須にも農地を確保して、本格的に豚の飼育をはじめとする循環型の農業に取り組む予定にしている。
 『青年塾』サマーセミナーは、六つのチームに分かれて、資源再生に取り組む事業所を見学するところから始まった。私達夫婦は、千葉県市川市にある株式会社農業技術マーケティングを訪問した。経営者の根来さんは、この分野の素人である。スタッフもすべて素人ばかり。ただ、環境問題に強い関心のあることだけは、共通していた。素人が、「何とかしたい」と執拗に取り組んできた。熱意が、常に道を開いてきた。今やこの会社で生産する飼料は、養豚の業界でも最高レベルの良質だ。

『青年塾』塾生諸君への手紙

2005年8月25日 上甲晃 |

 お盆の休みも終わり、また新しい活動の時を迎えました。諸君もそれぞれにリフレッシュされたことでありましょう。私は、一日は山梨、残りの三日間は、北アルプスの麓にある葛温泉の宿で、ひたすら静養しました。おかげで、今は、体内にエネルギーが少しばかり蓄えられた気がしています。間もなく、今年のサマーセミナー開催です。まだまだ暑い時節ですが、元気一杯、みんなで良い学びの機会として、サマーセミナーを成功させましょう。とりわけ、「東クラス」の諸君には、準備のためにずいぶんご苦労をおかけしています。その労に報いるためにも、みんながお客様意識ではなく、゛主人公意識゛を持って参加されることを期待します。
 今年のサマーセミナーのメインテーマが、゛もったいない精神゛であることは、既に十分承知しておいていただいていることと思います。最近、゛「もったいない」の一言は、日本発の流行語として、世界的に注目されています。日本人は、古来、物を大切にする心を、「もったいない」という実につつましく、謙遜な言葉で表していました。しかし、゛もったいない゛の心は、今や日本から消え去りつつあるようにも思えます。水や茶一杯飲むためにも、缶をゴミとして捨てなければなりません。便利を競い合ううちに、゛もったいない゛の心は滅亡の危機に陥ってしまいました。
 それは日本だけに留まりません。世界中が、便利を競い合い、゛もったいない゛の心をゴミと共に捨てているのです。二十一世紀、世界は経済発展に今まで以上にのめりこむことでしょう。何よりも、中国、インドという巨大人口を抱える二つの国が、貧困から抜け出て、経済繁栄に爆走することは間違いありません。またそれにひきづられるように、今まで経済発展から取り残されていた多くの国々が、経済発展に目の色を変えることでしょう。地球上に、贅沢な暮らしをする人が飛躍的に増え続けるのが、二十一世紀です。多くの人達が貧困から抜け出ることは、喜ばしいことです。しかし、大きなジレンマもあります。贅沢な暮らしをする人が増えれば増えるほど、エネルギーと資源がたちまち足らなくなるのです。
 その悩ましいジレンマを解決するためには、どうしても、゛もったいない゛の心を取り戻さなければなりません。とりわけ日本は、もともと、゛もったいない゛の心の元祖の国です。日本が世界に先駆けて、゛もったいない゛の心を取り戻すことは、今や、地球的な課題でもあります。
 今回のサマーセミナーのテーマは、『青年塾』の単なる一回だけの課題ではありません。大げさな言い方をするならば、地球的な課題解決のために立ち上がる、゛歴史的意義のある挑戦゛なのです。私たち百人余が、今回のセミナーを通じて、゛もったいない゛の心を自らの中にしっかりと植えつけて、実践することができれば、既に地球は百人余が実践した分、救われることになります。六十億人もいる地球上の人口のうち、たった百人余が取り組んでも、何の力にもならないと言う人が、世間にはいるかもしれません。しかし、『青年塾』は、「せめて私が」を合言葉にしています。どんなに小さな結果しか生まれないとしても、「せめて私達が」と考えて実践することは、実に誇り高い生き方ではないでしょうか。
 私は、゛もったいない゛の心を、今回のサマーセミナーだけのテーマではなく、『青年塾』のすべての研修を貫く一つの精神的支柱として確立したいと願っています。『青年塾』の研修では、机や椅子を並べる時、紐を引いてきちんと並べることはいつでも、どこでもできるようになりました。
 次は、゛もったいない゛の心の定着です。少なくとも、研修期間中のゴミの分別は、徹底して実践しましょう。また、使い捨ての物は基本的に使わないことを行動基準として確立しましょう。「ゴミを出さない研修」。もちろん、料理の実習などで、最低限度のゴミは出ます。しかし、それさえ最低限度に抑える努力が求められます。
 諸君が、『青年塾』の研修を通じて、「ゴミを出さない生活」を身に付けることができたら。きっと、諸君の周りにいる家族や職場の人達も、諸君の感化を受けて、変化していくことでしょう。そしてふと気が付いたら、思いもかけない大きな広がりを見せていることでしょう。世の中が変わっていくのです。そのためにも、諸君が、最初の一人でなければなりません。
 今回のサマーセミナーが、『青年塾』に新しい伝統と風土をはぐくむ第一歩になることを信じると共に、諸君といっしょに、『青年塾』の精神をよりいっそう高めていこうではありませんか。

カテゴリー

Twitter

メルマガのダイジェストやホームページ更新情報をつぶやいています。

By TwitterButtons.com

ピックアップ

ブックマーク

    このページをお気に入りに
    (IEのみで動作します)

新着情報

携帯サイト

リンク

    司法クラブ
    志ネットワーク会員を対象に運営する司法クラブです。