志ネットワーク 青年塾:「志の高い日本」は、「志の高い日本人」によってこそ実現するとの思いに立ち、志ネットワーク活動を展開。 主宰:上甲晃

不況期の過ごし方

2009年3月 5日 上甲晃

 不況期になると、松下幸之助が、なぜか見直される。既に亡くなって21年が経過する。しかし、松下幸之助は、今もなお、経営の神様としては、健在のようである。何よりも、松下幸之助は、「好景気良し。不景気なお良し」と言う。そのたった一言が、世の多くの経営者の心をとらえるようだ。みんなは、「好景気は良し。不景気は悪し」と思っているから、松下幸之助の言葉は、ある種、衝撃的なのだ。


  どうして不景気が良いのか。「好景気の時にはな、誰が経営しても、そこそこにうまく行くものや。経営力よりも、景気力が、後押ししてくれるからな。ところが、不景気の時は、経営力がなければやっていけない。だから、経営の本当の差は、不景気の時に付くものや」。私なりのとらえ方を、松下幸之助風に語ってみたら、こんな台詞になるのだろう。


  経営の本当の差は、不景気の時に付く。そう言われると、私が在職中、゛松下電器は不景気のたびに伸びる会社だ゛と世間で言われていたことを思い出す。不景気のたびに伸びたら、他社との差はみるみる開いていくのは当然であろう。松下幸之助が、゛経営の神様゛などといった言われ方をしたのも、その辺りに秘密があるようだ。

 
  なぜ、不景気は、好景気の時よりも、゛なお良し゛なのであろうか。

 
  先ず、経営の改革は、不景気の時にしかできない、と言う。業績が好調な時は、社員に自信を与えるものの、「この調子で行きましょう」と、現状を肯定する傾向にあり、本当の反省ができない。反省がなければ、改革はありえない。反省は、改革の始まりである。さらに言えば、「このまま行けば、会社がつぶれるかもしれない」といった危機感が浸透すると、今までのやり方を抜本的に変えなければならないと、誰しもが思う。゛かつてない困難は、かつてない改革のチャンス゛だと、松下幸之助は、社員を励ましたものである。また、不景気の時は、好景気の時に手が回らなかったことに着手するのには、きわめて良い機会だ、と言う。「好景気の時は仕事が忙しい。猫の手を借りたいような時には、社員の教育をじっくりしている余裕がない。不景気は、基本的には、暇である。社員教育に一日掛けても、なお時間が余る。不景気の時にしっかりと社員を育てた会社は、やがて好景気になったら、どんどん伸びていく」。そんな言葉も、私の記憶の中に鮮明に残っている。好景気の時は忙しくて手が回らなかったことを順番に挙げていけば、不景気の時にやることが一杯、見えてくる。やることが多いと言うことは、゛不景気もまた良し゛なのだ。


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