十年、一財産

上甲 晃/ 2001年09月19日/ デイリーメッセージ

一年、365日。単純に計算すれば、十年は、その10倍の3650日。そして、このデイリーメッセージは、第一号から数えて、今日、十年目を迎えたことになる。途中、うるう年もあった。また、海外に出かけたときなど、書きとどめておきたい材料が多くて、一日に複数号分作成したこともある。だから、必ずしも、今日がピタリ十年目というわけでもない。ただ、一度も休んだことがないことだけは、事実である。
『十年、一財産』。すなわち、どんなことでも、十年欠かさず継続すれば、人生の一つの財産となるという意味だ。十年継続してみての、率直な実感である。お金などほとんど蓄えられなかった私の人生にも、デイリーメッセージという一つの財産形成ができたのである。私の子供たちは迷惑するかもしれないが、十年分のデイリーメッセージの合本を遺産相続として渡すつもりをしている。
そもそもこのデイリーメッセージを始めた動機は、単純であった。十年前、松下政経塾では、他に先駆けて、ホームページなるものを開いた。宇佐美君という塾生が、連日、徹夜に近い努力をして、完成させてくれたのである。ところが、誰もアクセスしない。「時々開いてみるけれども、古い情報ばかりだ」という批判が耳に届いた。「それならば、僕が毎日メッセージを入れればいいのだろう」と開き直った。きっかけは、そんな低次元の売り言葉と買い言葉から生まれた。
やがて、鍵山秀三郎さんと出会う。『凡事徹底』という言葉を教えられた。「平凡なことを非凡に努力することが人生においては大切である」との教えを忠実に実行した。そして5年もすれば、もう止められない。デイリーメッセージを作成しないと、風呂に入らないような気持ちの悪さを感じるようになった。習慣として、身に付いたようだ。
今、私は、当たり前のようにデイリーメッセージを作成している。文章を作成するのに、何の苦痛もない。パソコンに向かえば、文章は自然に沸いて出てくるようになった。よく、「書くネタに困りませんか?」と聞かれる。正直、困ることはない。なぜならば、十年継続するうちに、身の回りのごく平凡な出来事の中から学ぶ力が培われてきたからだ。『平凡の中にこそ、真理あり』、十年継続してみてわかったことだ。
一万号。これが夢だ。あと20年足らず。人に偉そうに話をさせていただくことの多い私だからこそ、「万人、万物、すべて私の先生」の心構えを肝に銘じるためにも、続けなければならない。

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