出会えて良かった

上甲 晃/ 2002年3月10日/ デイリーメッセージ/

『青年塾』第5期生の出発式である。前の晩の懇親会で、あれほどビール好きの私がビールを一滴も飲まずに、ウーロン茶を飲み続けていたのは、期するところがあったからである。この一年の研修をみごとに締めくくりたい、ただその一念を大切にしたかった。

率直に言って、今年の出発式については、入塾式の時から心配していた。78人の塾生諸君の大半は、義務感や命令によって参加していた。その抵抗感が、みんなの中にみなぎっていたのである。そのために、どのクラスの研修もぎこちなく、盛り上がりにかけていたことも事実である。「せっかく張り切って『青年塾』に入ってきて、がんばろうとしたら、みんなから浮き上がってしまう」と、自ら志願してきた人たちが、さびしい思いをしていたのも、最初の頃のことである。このまま出発式までなだれ込んでしまい、盛り上がらないまま一年が終わってしまうかもしれないと本当に心配し続けていた。それだけに、見違えるように、みんなの心が一つになれたことを心の底からうれしいと思った。

この日の私の挨拶は次のようなものであった。
「今、諸君と出会えて良かったとしみじみ感じています。率直なところ、入塾式の時には、今年は盛り上がらないままに終わるのではないかと心配しました。しかし、昨日、一昨日、諸君は心を一つにして、実に秩序だった動きで、すべての行事に望んでくれました。私はその様子を見ていて、涙が出るほどうれしかった。諸君と出会えて本当に良かった。それが、私の、偽りのない思いであります。

出発式にあたり、私が諸君に第一に望みたいことは、現状に自らを合わせる窮屈な生き方をして欲しくないということです。現状には、おかしなところ、変なところ、不合理なところ、間違っているところが一杯あります。それらをすべて肯定して、現状に自分を合わせて生きるのは若者らしくありません。若い人は、おかしいと思うこと、変だと思うこと、間違っていると思うこと、不合理だと思うことに対して、怒りをもたなければなりません。怒りを忘れたら、もはやそれは青年ではありません。日本全体が改革に行き詰まっている今日、諸君が怒りをもって現状を変えようと立ち上がり、行動する改革の意欲が、日本を救うのです。

今ひとつ望みたいことは、思いを大きく、高く持つこと。人間のエネルギー源は、思いをもつところからすべてが始まります。小さな思いからは小さな結果、卑しい思いからは卑しい結果、けちな思いからはけちな結果しか生まれません。大きな思い、高い思い、それが志です」。