一つ学べば、一つ変わる

上甲 晃/ 2003年4月14日/ デイリーメッセージ/

「みなさんが、この部屋に入るとき、一礼されました。それはまことに望ましいことです。しかし、人によっては、敷居を踏む人もいる。気をつけて、踏まないようにしている人もいる。本来、敷居は踏まないものです。それを知っていて実行できる、そんなことのわずかな差が積み重なって、人格の差となるのです」。『青年塾』の第七期生・入塾式に列席していただいた鍵山秀三郎さん(株式会社イエローハット相談役)の式辞の中の一言である。私はその瞬間、゛一つ学べば、一つ変わる゛との言葉を思い浮かべた。どこかの会社の壁に、゛一つ拾えば、一つきれいになる゛といった標語が貼ってあった記憶がある。その標語を文字(もじ)ったものである。

『青年塾』の塾生諸君に、そのことを取り上げて、私は、次のような話をした。「昨日、鍵山さんから、敷居を踏まない」の一言をお聞きしました。『一つ学んだ』わけです。問題はそれから後です。諸君が、その話をきっかけとして、二度と敷居を踏まない人に『変わることができた』ならば、それは大した人物に近づいたとも言えます。

人生、目新しいことやたいそうなことをすることよりも、敷居を踏まない、そんな当たり前のことを学んだとき、それがきっかけとなり、『二度と敷居を踏まない人に変わる』ことのほうが大切なのです。『青年塾』は、そうした学びを大切にしていきます。

゛一つ学べば、一つ変わる゛ことができるとすれば、『青年塾』のたった一年間で、諸君はどれほど成長することでしょう。とてつもない成長を遂げること間違いなしです。例えば昨日からたった一日でも、随分色々な学びがあったはずです。「立ち上がったら、椅子はそのままに放置せずに、ちゃんと机の中にしまいなさい」と教えました。また、「椅子を後ろに引く時には、大きな音を立てずに、持ち上げなさい」とも注意しました。そんな注意を受けた時、二度と同じことを繰り返さないとの決心をすれば、もうそれだけで、「三つ学んで、三つも変わった」ことになります。

いずれも難しいことではありません。その気になれば、今すぐに実行できることばかりです。要するに、やる気が全てを決めるのです。できるかできないかは、やる気があるかないか、それだけの問題であります。『青年塾』は、人間としての基礎、生きる基本を学ぶ場です。そして、生きる基本とは、実はまことに平凡なところにあるのです。『平凡を励む』、それが、生きる基本を修得し、人間としての基礎力をしっかりと身につけていく道であることを肝に銘じてください。