中国最新事情

上甲 晃/ 2003年11月10日/ デイリーメッセージ/

「中国には、゛トラに乗って走る゛という諺があります。漢字で書くと、『騎虎難下』と書きます。どういう意味か。トラに乗って走ると、トラから下りられない。万一下りてしまうと、トラに食べられてしまう。だから、走り続ける以外に方法はない。そんな意味です。現在の中国は、まさに、゛トラに乗って走る゛の状態にあります。中国の乗っているトラとは何か。それは、経済発展です。もはや経済発展を止めるわけにはしかない。経済発展というトラを止めてしまうと、食べられてしまいます」。中国の最新事情について、いきなりから、わかりやすく、しかもきわめて面白く話してくれたのは、東京大学客員教授で、中国社会科学院主任教授の金 煕徳さん。来年の三月まで日本に滞在すると聞いて、私の主宰している『日本の進路研究会』の講師を依頼した。

「環境問題が深刻化したから、少し経済発展を抑えようとの発想は、中国にはありません。経済発展をより進めるためには、環境問題もなおざりに出来ない、それが中国の考え方です」。金さんは、答え方が明快だ。「教育競争は激しすぎる。お金儲けするために、ますますエスカレートしている。だから、ぼつぼつ抑制しようとの動きもあります。日曜日は勉強を止めよう。みんなはそのように考えています。ただし、自分の子供を除いて。それが中国人です」。これまたわかりやすく、納得だ。
その金さんによれば、日本は社会主義国、中国は資本主義国だと言う。一般には、日本が資本主義国で、中国が社会主義国のはずなのに。「もはや、中国はイデオロギーなどで動いていない。中国は、お金儲けだけで動いている」。言われてみると、その通りだ。会場は、爆笑の連続だ。金さんの話は、妙に納得性があるから不思議だ。

こんな話も納得だ。「中国は十三億人がいる。これだけの巨大人口の国が、経済発展に挑戦するなど、世界ではじめての試みです。余りにも巨大なために、多様性が一つの大きな特徴になっていることを理解していただかなければなりません。超先進国、中進国、途上国、最貧国、その四つの顔が入れ混じっている。それが中国です。だから、最貧国には援助を必要とする。日本人は、有人ロケットを打ち上げる国に、どうしてODAが必要かと言う。それは、中国の多様性を理解していないから出てくる意見である。有人ロケットを打ち上げる一方では、外国からの援助がなければ生きていけない地域、人々もたくさんいる。それが中国なのです」。面白い話は続く。「中国人は、会社のものを家に持って帰る。日本人は、家のものを会社に持ってくる。それが中国と日本の違いです」。