段取りが成否を決める

上甲 晃/ 2005年1月30日/ デイリーメッセージ/

松山講座のために現地入りした時、松山市役所の担当者が、いきなり、「今回の講座は成功間違いなしですね」とおっしゃる。うれしい一言ではあるが、「どうして」と私は首をかしげた。「とにかく準備が完璧です。西クラスの人達が今回の実行委員会を編成されたとのことですが、みなさんの真面目で、真剣で、行き届いた準備には感動しました。普通なら、役所の我々は、資料をお渡しする程度のことしかしないのですが、とにかく今回はそれでは終わりませんでした。それどころか、あまりにもみなさんが熱心に取り組まれるので、こちらも段々と力が入りました」とのこと。

到着早々にそんな話を聞かされると、こちらもうれしくなる。そして密かに、今回の『松山講座』はうまくいくだろうと確信した。準備の段取りが充実している時には、何事も円滑に進む。そのことは、経験上、十分に承知している。そしてそれがわかるからこそ、二ヶ月ほど前から、繰り返し、実行委員会の人達に細かい指示を出し続けてきたのである。実行委員長の田中直也君は、私の指示を一つ一つ丁寧に受け止めて、極めてタイミング良く対応してくれた。だから、私も安心して、講座の運営を塾生諸君に任せることができたのである。

聞くところによると、田中委員長を始めとして、実行委員会の人達は、何度となく現地入りしている。その努力も、松山の関係者の心を動かしたようだ。『青年塾』の講座でも、実効が上がらないのは、運営責任者が電話一本で事を済まそうとした時だ。電話を受けた人は、「わかりました」と対応しつつも、「まあ、適当にあしらっておこうか」と内心思うだけだ。受入れていただく人達が、「これは適当にあしらうわけにいかん」と思うのは、運営する人たちの真剣さであり、熱心さである。その意味では、講座そのものよりも、準備の方が、学びはより大きいとも言える。

段取りの良さは、運営にはっきりと表れていた。何よりもうれしかったのは、参加者が、実行委員会の存在をあまり感じないこと。実行委員会の人達が混乱すると、決まって参加者も混乱する。実行委員会が浮き足立つと、参加者もまた浮き足立つ。今回の実行委員会の人達は、静かに、落ち着いて、淡々と、しかし誠意を持って事に当たった。それが参加者に伝わり、静かに、落ち着いて、淡々と学ぶことができた。また実行委員がつつましく、謙虚になると、参加者もつつましく、謙虚になる。

その意味で、段取りはまことに大事である。そして完璧な段取りをしようとすれば、現場に精通すること。現場がわからないと、咄嗟の時の対応ができない。そして入念な段取りは、運営に自信を与えてくれる。