奈良氏の挑戦

上甲 晃/ 2005年2月21日/ デイリーメッセージ/

福井県鯖江商工会議所が主催する『若鯖塾』の研修のために出かけた。たまたまその日、松下政経塾の卒業生である奈良俊幸氏囲む新春の集いが、鯖江市の隣の武生市で開催されることになっていた。奈良俊幸氏は、現在、福井県会議員。四回連続当選しているベテランである。奈良氏は、昨年の末、今年の五月に行われる武生市長選挙に立候補することを表明している。そのために、今回の新春の集いは、実質的には市長選挙への「決起大会」の様相であった。だから、私も、ぜひとも様子を知りたいと、会場まで足を運んだ。
金曜日の午後二時、会場の武生商工会議所は、大勢の人で賑わっていた。新しく完成した商工会議所の大きな駐車場は、既に満杯。建物の中に入ると、人人人。市長選挙が近いとあって、支援者はもとより、さまざまな業界団体の幹部も顔をそろえているようである。そもそも市長選挙は、市内を拠点に仕事をしている人達にとっては、生活がかかっているのである。市長選挙の時に勝ち馬のほうに乗らないと、報復を受けて、後の仕事が干上がってしまうこともある。
だから、この日、会場に集まっているすべての人達が、支援者と言うわけではない。とにかく顔を出しておこうと、参加している人達も少なくない。それにしても、商工会議所のホールは、超満員。まさに、立錐の余地がない。ほとんどは、男性である。私はできるだけ目立たないように、会場の死角となる隅っこにたたずんでいた。同行した人が、「奈良さんのお人柄でしょうか、隣近所の人達が多いですね」と言う。
奈良氏は、極めて真面目な政治家である。県議会では、第一回目の当選以来、代表質問を欠かしたことがない。もう五十五回にもなる。ふつう、ベテランは質問をしない。質問のための準備が大変なため、当選回数の少ない若手に振るのが通例である。奈良氏は、それが悪しき習慣であると思って、今日にいたるまで、必ず議会での代表質問に立ってきた。選挙民の思いを組んで、県知事や県の幹部に直接、意向を聞きただす、その努力は県内でも評判になっている。
奈良氏が立ち上がり、「自立した地域作り」を熱く語り始めた。「国も地方自治体も財政的に大ピンチです。もはや、国や県を頼りにして地域を良くする時代ではありません。自分達の自立した姿勢と、自ら活力ある地域を作ることが急務です」と極めて簡潔に、分かりやすく説く。奈良氏の話を聞いていると、私の体が熱くなる。間もなく選挙終盤戦。足の引っ張り合いや寝技が飛び交っているそうだ。そんな輩を、蹴散らしてほしい。