アイルランドへの旅

上甲 晃/ 2000年07月31日/ デイリーメッセージ

平成8年の5月1日に会社を設立して以来、毎夏、海外に出かけるようにしてきた。最初は中国。翌年は、インド。次の年は、アメリカ。そして昨年はヨーロッパ。そして今年もヨーロッパ行きである。

昨年のヨーロッパの旅は、前半、スコットランド、ウェールズ、そして後半、ウィーン、プラハを回った。スコットランドは、松下政経塾の卒業生である菊川智文君とイギリス人の奥さんに案内してもらった。スコットランドは、ケルトの文化が色濃く残っている地域である。そのケルンのことに興味を持つうちに、菊川夫人が、アイルランドには、ケルトの文化がさらに深く根付いていることを教えてくれた。「よし、来年は、アイルランドに行こう」と叫んだら、菊川夫妻も、「私たちも行く」と同調してくれた。しかも、菊川夫人の先祖はアイルランドの出身とか。話はすっかりと盛り上がり、アイルランド旅行は一年前に決まった。

アイルランドのことを事前に勉強してみて、さらに興味は深まった。とりわけ、「百戦百敗していながら、意識においては、百戦百勝である」と聞いて、おおいに心動かされた。800年近くイギリスの統治下におかれただ単に政治的に支配されるにとどまらず、宗教的にも、プロテスタントに徹底して弾圧された。イギリスでは英雄的な支配者であるクロムウェルは、むごい虐殺の張本人として、アイルランドでは今でも一番嫌われている。あらゆる戦い、あらゆる争いに、負けに負け続け、虐げられてきたアイルランドではあるが、国民の意識は、まるで常勝のごとく誇り高いものがあるというわけだ。高い精神、志と聞くと、じっとしておれない私は、はるばるアイルランドまで出かけることにした。

もうひとつは、アイルランドの小島であるアラン諸島にも関心がある。アラン島は、石の固まり。農業を行うのにも、土がない。人々は、海藻を岩の上に並べて、砂になるのを待つという、とてつもなく気の遠くなる仕事を営々として積み重ねてきたという話にも、心揺り動かされた。アラン島では、田を耕すと、カチンカチンと石に当たる音がするというほど、過酷な情況にある。砂さえもない土地で農業を行う人々の精神にも学んでみたいと思っている。幸い、菊川夫人はアイルランド出身。親類も多いので、家庭訪問の計画も組んでくれている。多くの人たちに接して、アイルランドの人たちの誇り高い生き方をしっかり見届けたい。

10日もかけるので、アイルランドをぐるりとほぼ一回りできる予定である。最初は、北アイルランドから。ここは、イギリス領だ。宗教上のトラブルから、テロが絶えなかった土地。出発点としては、ふさわしい。

なお、8月3日に出発するので、しばらく、このウイークリーメッセージは、夏休みとします。もちろん、現地では、詳細なレポートを、デイリーメッセージとして記録していきます。ご期待下さい。

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