21世紀 新年所信

上甲 晃/ 2001年1月1日/ デイリーメッセージ/

新年、あけましておめでとうございます。

20世紀から、21世紀へと、時代は大きく転換しました。百年、あるいは千年単位で変化を捉えようとする試みが、数多く見られます。

私は、「人と人が対決する20世紀」から、「人と神とが対決する21世紀」を予感しています。20世紀は、世界的規模で、人と人とが対立し、悲惨な殺戮を繰り返してきました。人と人が争い合う姿がなくなることはこれからもなくなることはありません。しかし、21世紀は、それにとどまらない新しい対決が起きてくるように思われてなりません。それは、人間と神との間のきびしい緊張関係です。神という表現は、あるいは不適切かもしれません。天地自然の摂理、人間を超える存在、そういうものをすべて包括して、神と呼ぶことにします。

21世紀、人間の欲望は世界的規模で肥大していくことでしょう。今までは、ごく一部の先進諸国が享受していた豊かさを、これからは世界的規模で享受する時代の到来です。多くの人たちが貧困から救われる点においては、まことに結構であります。また、IT革命が世界的規模で進むことにより、市場競争はますます激しくなると共に、いっそう大きくなっていくことでありましょう。

人間の欲望のかつてない肥大の時代、それが21世紀であるとすれば、 何より気になるのは、人間の欲望を「神」とも言うべき天地自然、人間の存在を超えた存在が受け入れてくれるのかどうかということであります。限りなく膨らむ人間の欲望と、「神の意思」、「天地自然の摂理」との戦い、私が、「人間と神との対決時代」という意味であります。

環境問題、遺伝子操作の問題、これからの時代の脚会を浴びるべきすべてのテーマは、「人間と神との戦い}とも言えます。人間の欲望が肥大すればするほど、地球環境が悪くなるのです。これからの百年は、その悩ましい問いかけの時代なのであります。

私の思いはただ一つ、「せめて自分ぐらいは」と考えて、自らの行動を律することだけです。世界全体が、「人間と神の戦い」の時代を迎えれば迎えるほど、無力が襲いかかるものです。だからこそ、「せめて自分ぐらい」という美学が光る世紀でもあると言えそうです。

人間が豊かになりたいという思いを否定することはできません。第一、日本もまた、それでここまできたのではないでしょうか。それを、ほかの国の人たちが同様に行動するのはまかりならないというのは筋違いでしょう。みんなが豊かになりつつ、神とどのように同意できるか、21世紀最大の課題ではないかと思います。あるいは、大きな失敗に終わるかもしれません。それでは、人類は滅亡する。21世紀とは、そんな時代です。