変革の予感

上甲 晃/ 2001年4月23日/ デイリーメッセージ/

保守派には、生き難い世の中になってきたようだ。既得権益を守ろうとしても、時代が許してくれない、そんな予感がしてならない。

今行なわれている自民党の総裁選は、その代表例であろう。派閥という既得権益の固まりが、日本の政治を一貫して動かしてきた。とりわけ、橋本派は、最大派閥。日本の政治の中枢を牛耳る力をもち続けてきた。過去の溝図からすると、最大派閥が誰を総裁に選ぶかによって、すべては決まった。その構造が、根底から崩壊しようとしつつある。

派閥という既得権益を守りたいと執着する保守派は、今、顔色を失いつつある。それは、国民の意識のなかに、変革の強い思いが表面化してきているからだ。「いい加減にしろ」といった怒りもある。「このままでは、ますます悪くなる」といった危機感もある。「思い知らせてやる」といった恨みに近い感情もある。そうしたあらゆる感情が一つのうねりとなり、変革の選択をし始めた。派閥政治では絶対に勝てる見通しのない小泉純一郎氏が、全国の自民党員による予備選挙で圧勝しているのだ。

改革を求める国民の意識を無視して進むことが、自民党の崩壊につながることは、派閥の力に執着している保守派にも自明の理である。白旗を上げて、団民の意識に屈するしかない。

私は、日本の国のあらゆる分野で、既得権益に執着する保守派と新しい時代を熱く求める革新派の激しいせめぎあいの時代にあると思っている。たとえば、手厚い保護政策によって守られてきた多くの業界は、近々、規制の撤廃による自由競争の嵐にさらされる運命にある。業界代表の政治家にすがりついて、引き続き、既得権益を守りたいとあがいても、時代が許さない情況が待ち受けている。

今日わが家に迎えた客は、酒の販売チェーン店を経営している人だ。その人が、「2003年まではなんとか経営の見通しがついています。 しかし、その後はまったく見当が付かない。どこでも、だれでもが酒を売れる時代になるのです。今までのように、規制によって守られてきた情況とは様相がまったく変わります」と、困惑の表情を見せた。

私は、「宅急便業者が酒を販売するようになるかも知れませんね。自宅まで届けてもらえるのは便利ですから」と、素人なりの見方を話した。その人は、「すでに宅急便業者が販売の稚利を取得したとも聞いています」と教えてくれた。変革本番。ここで変わらなければ、日本は生き残れない剣が峰に立つ。既得権益にしがみつこうとする姿勢は、すでに時代遅れ。変革を待望する改革派になれるかどうか、日本人全体の課題である。